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『子どもの鼻水』

寒くなると、子どもはすぐに鼻水を出しますね。

暑い夏でも、薄い緑色の鼻水が出ている子どももいます。

子どもが小さい時、鼻水を出していれば、
大人が気づいて拭きとってあげると思います。

そして少し大きくなってきたら、声をかけて気づくようにし、
自分で鼻水を拭いたり、鼻をかんだりします。

ところが、子どもの鼻水なんて、そんなに気にすることじゃない・・と、
鼻水が出ていても気にしない大人もいないわけではありません。

「昔はみんな鼻水出してたもんね。」
そんな言葉を聞いたこともあります。

その子どもはどうなったのでしょう。

 

『鼻水が原因で起こる困ったこと』

 

鼻水がずっと鼻にたまったままにしていると、どうなるのでしょう。
鼻水が原因で起こる困ったことはたくさんあります。

まず、鼻水が出ているということは、鼻呼吸ができていないということ。

鼻呼吸ができないということは、口呼吸をしているということ。

鼻なら侵入を防ぐことができるけれど、口呼吸ではウィルスを取り込んでしまいます。

その結果として、ウィルス性の感染症に感染してしまうということがあります。

また、鼻水は鼻の中にたまりつづけて、副鼻腔炎や中耳炎を起こしやすくなります。

 

 

『副鼻腔炎とは、何か?』

 

副鼻腔炎とは、鼻に溜まった鼻汁が、あふれ出すようにして
目の下にある袋状の所に溜まってしまう病気です。

嫌な匂いがして、抑えると痛みがあり、匂いを感じることも難しくなり
食べ物の味がよくわからないような状態になってしまいます。

そして、副鼻腔炎になると、いつも頭の前のほうが鈍く痛み、
重くてボーッとし、記憶することも大変になります。

また、耳にも影響があり、聞こえが悪くなります。

小さい頃から、いつも鼻水が鼻の中で溜まっている状態が続くと、
子どもはそれが普通になって
鼻水が出てきたら吸い上げるという事を繰り返し、
鼻がスッキリ通っていることが気持ちいいということすら忘れてしまいます。

そんな期間が長くなると、言葉を聞き取る力が弱くなり、間違って言葉を覚えたり、
正確に発音せず、似たような音で会話をするようになったりもします。

例えば、「タオル」のことを「パオル」と言ったり、
「食べる」を「ぱべる」と言ったり、
「くっつく」が「ふっつく」になってしまうことがあります。
子どもは、生活の中で物を使ったり見たりしながら、
同時に耳から入ってくる音の情報を一致させて
言葉を習得していきます。
ところが、鼻がずっとつまっている状態でいると
当然、言葉も正確にな音で聞こえなくなってしまうことがあるのです。

きちんとした音で聞こえていないのに物事を正確に考えることができるでしょうか?

 

『思考力を高める鼻呼吸』

 

言葉を正確に聞き取ることが出来ないと、正確な言葉を記憶することが出来ません。

また、まるでプールの中で聞こえてくるような音を聞き分けようとすることが大変なので
周りの大人の話を聞こうとしなくなります。

自分の耳の聞こえ方を「これが普通の聞こえ方」だと認識してしまい
人の話にも興味を持ちにくくなります。

そして、一生懸命話して聞かそうとしている相手がいても
何を言っているのか聞き取れないので無視してしまうことも増えます。

聞いていないのかと感じた大人はさらに一生懸命言って聞かせようとします。

「どうして、大人の言ってることを無視するの?」と叱られることもあるかもしれません。

けれども、水の中で話を聞くなんてこと、大人でも難しいものです。

無視したと思われて叱られることが嫌だと感じた子どもは
次に「適当な返事」をするようになります。

そして「適当な返事」は
何かを指示されてその指示を受け入れたことになり、
そのことがわからないまま、「さっき返事したでしょ?」・・と
返事したのにその指示されたことを実行しないという理由で
また叱られることになってしまいます。

子どもは、自分の聞こえが良くないことにも気付かず
それなのにどうして叱られるのかもわからず
自己否定感を持たされてしまう危険性もあります。

たかが鼻水、されど鼻水。
大切な子どもを、そんなふうにしてしまいたくはありませんよね。

 

ティッシュを引き出す赤ちゃん

 

『鼻水と考える力の関係』

 

人間は「言葉を使って頭の中で考える」ので
言葉が耳から入ってこなくなると、当然考えることもできなくなります。

「周りの子どもは、こんなに話が上手にできるのに・・」と嘆く前に
子どもがいつも鼻水が出していないかを見てあげましょう。

「鼻水が出ていないから大丈夫。」と安心するのはまだ早いです。
鼻水が出ていなくても、粘り気のある鼻水が
子どもの小さい鼻の穴に中にずっととどまっているということもあるのです。

口をいつも閉じていないのは鼻が詰まっている証拠。

鼻水が出ていないけれど、口がいつも開いているという状態は
鼻呼吸がしづらいから、口から息を吸っているということです。

呼吸はできていても、副鼻腔炎になっていると
聞く力や記憶する力、考える力にも影響がある・・と考えて
子どものことを丁寧に観察してあげてください。

そして、鼻水がずっと出ていることを平気だと思わないで、
子どもの鼻水は、拭き取るのではなく、かみ取るようにしてあげましょう。

熱が出たり、ぐったりしたりする病気とは違いますが、
子どもの成長発達にも大きく関わる鼻の病気。

なってしまうと治療に通うのも大変なこと。
子どもの学力にもつながる鼻の病気。
そうならないように、見守ってあげましょう。

言葉に影響が出ると、あとあと親子で苦労することになります。

子どもも楽に、大人も楽に過ごすために
鼻の病気にも気を付けましょう。