毎日の食事。

これがなければ、もちろん健康な体は作れない!

子どもの食事についての悩みも、これがまた多いんですよね。

そんな悩みのひとつを考えていきましょう。

いただきます

目次

子どもへの声かけを考える

ある年のこと。

クラスの子どもの中に、食事時間がとても長くかかるお子さんがいました。

ほんとに小指の爪ほどの食べ物を口に運び、右に左に口の中でその食べ物を移動させているものの、顎が左右に動くだけで噛み砕いているとは言えず、そのせいで飲み込むことがなかなかできないという結果になっている様子。

体も大きいとは言えず、こじんまりとした体格で、言葉はたくに使うことができるものの、学年の他の子どもたちに比べて、とても幼い感じのする子どもでした。

嫌々食べる男の子

個々に合わせてあげられない現実

4歳児クラス35名を一人で保育していることで、給食の時間も限られていて、本当はゆっくり食べさせてあげたいと思っていても、叶わないのが現実でした。

個々を大切にすると言いながらも、1人担任の一斉活動の中では、全てを1人に合わせることは不可能です。

そんな状況下で、おおよその食事時間を決めて、給食が始まります。

ところが、毎日のように、としくんは一口量が少なく、なかなか食事が捗りません。

また小指の爪ほどの量が口の中にあると、私が勧めても次に口に入れることを頑なに拒むので、どんどん周りの子どもとの食事の進み方に差ができてしまいます。

また、としくんのクセで、食べ物を歯とほっぺの間に入れて、噛んでいないことが多かったことも、遅くなる要因でした。

帰りの時間も気になるし、何よりもとしくんの体を作るための栄養となる食事の量が少なくなってしまうことが気になりました。

なんとか頑張って食べてもらおうと、「たくさんお口に入れてね」

「ほっぺの中に入れないで、噛んで食べてね」

「お口の中が空っぽになったら、次のをお口に入れてね」

「止まってるよ」

「食器を持って食べてね」

など、できるだけ早く食べて欲しいという気持ちから、次々に声をかけていた私。

そうすることで、早く食事が終わると考えていました。

食べない男の子

イライラする毎日

ところが、としくんはいっこうに早くなる気配もなく、内心イライラしてしまう日々が続いていました。

声をかければかけるほど、としくんも「まだお口に入ってる」とわざとゆっくり噛み続けるようにも見えました。

4歳児クラスも終わりに近づき、もうすぐ年長クラスになるのに、こんなに時間がかかっていると困るのに、どうしよう…

なんとかしなくては、このまま年長クラスに進級して、やることがたくさんできてきた時に、困ったことにならないようにしなくては・・と焦りがありました。

どうしたら、早く一定量を食べてくれるのだろう・・

どんな方法があるだろう・・

お母さんに家庭での様子を尋ねても、園と同じ様子で、家庭でも困っている様子でした。

困る保育士

こんな少量でいいの?

もちろん、他のお子さんと同量では多いのかも知れないと考え、始めに減らしておいて少量の給食を食べてもらったりもしましたが、あまりにも少ないのは成長に悪影響だと思うとあまりしたくないことだし、本当にどうすれば、一定量を一定時間程度で食べてくれるのか、悩む日々が続きました。

3歳児クラスの1学期なら、どれも一口程度で、食べられたことを喜ぶことで、達成感や満足感を得られ、そこから少しずつ量を増やしていくという方法を試すことはよくあることだ。

けれども、としくんは、もうすぐ年長クラスに進級する。

こんな少量で、いくら早く終わったとしても、これが本当にいいことなの?

そんなふうにも思い悩みました。

としくんにとって、給食を減らしてでも、早く食べ終わることが、本当に嬉しいことなの?

こちらの都合で早く食べ終わらせたいだけなのでは?

そんなことも考えながら、でも、給食の食べ終わりが遅くなるのは嫌だという気持ちであることは、としくんにも確認し、量を調節しながら見守るしかない状態でした。

見守り食べる保育士

神技ワードでスピードアップ!!

そうなふうに焦っていたのですが、ちょうど受講していた講座で学んだことを試してみることにしました。

「ちょっといい?」

としくんに、話しかけ、「どうしたらみんなと同じくらいの時間で食べ終われるかなぁ?」と、相談しました。

としくんは、自分で考えて、答えを出していきました。

「じゃあ、どうしたらみんなと同じくらいに終わって、みんなと遊ぶことができるようになると思う?」

としくんは、自分でどうしたらいいのかをしっかりと考えて結論を出しました。

うれしそうに食べる

決めたことを実践した神技の成果

そして3日後、なんと、それまで毎日必ず減らして欲しいと言っていたのに、一定量の給食が入った食器を持っていこうとしたのです。

心配して「食べられるの?」と尋ねましたが、「食べられる」との答え。

私は黙って見守っていたのですが、としくんは、自ら大きな口を開けて勢いよく食べていくのでした。

私が、「すごいね!としくん、大きな口でパクパク食べてる!」と驚きを言葉にすると、まわりで見ていた友だちも「ずこいね、としくんがんばれ!」と応援してくれました。

しつこく声をかけていた時は早く食べられなかったのに、本人の意思に任せたことで、としくんはやる気になったのでしょう。

受講で学んだことを使ってみて、こんなにすぐに変化が現れるんだ!と、ほんとに驚きました。

自分の保育を振り返りながら、一人ひとりを大切にするということがどんなことかを考えながら、より効果的な方法を模索していきたいと思った出来事でした。

からの食器をみせる

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